2017年7月23日日曜日

柴原薫さん(海外で活躍する日本のアーティストたち)

海外で活躍する日本のアーティストたち

柴原薫さん

初めてこの写真に遭遇した人はどんな印象を持つんだろう。
そこにあるのは、美しい花々……だけではない。
ぎょろりとした大きな目玉が、一人格として存在する。
ああ、この目玉さえなければなあと思う人もいるかもしれない。
でも、この目玉君と逢瀬を重ねるうち、ただ花だけが美しく存在する写真に
物足りなさを感じてくる人の方が多いのではないだろうか。

これは、医療用の義眼。
作者の柴原さんは医療用の歯などでも撮影を試みたが、結果的に義眼で落ち着いた。

1993年、目玉君初登場の作品


この目玉君のシリーズが発表されたのは1993年。2000年には、本格的にシリーズ化された。ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじよりは後だが、モンスターズ・インクのマイク・ワゾウスキよりは先の誕生だ。毎年、年末の銀座で個展が開かれ、ファンたちの年末行事として喜ばれている。

あるとき、柴原さんは、「パリで個展を開かないか?」と現地の画廊商から誘いを受ける。個展は、”Rencontre inttendue avec les yeux charmants!”というタイトルで、2013531日から2013613日までパリのGalerie SATELLITE2で開催され、多くの支持を得た。(英タイトル: ”Encounter with unique lovely eyes!”

 海外のアーティストからこんな話を聞くことがある。
「なぜ日本人は冒険しないんだろうか?」
崖っぷちに立ったぎりぎりのところに、真の芸術があるのに、日本のアーティストはそこに手を伸ばすことをしたがらない、と。崖から落ちて失敗することを「恐れている」のか、あるいは、観客に失敗作を見せるような「失礼」なことをしたくないというプライドか。他の国々のアーティストに比べると、多くの日本のアーティストは作品を無難に落ち着かせる傾向があるように思える。

「義眼」と「花」を組み合わせるという柴原さんの冒険が、少しでも日本の若い世代に勇気を与えますよう。

2000年、目玉君がシリーズとなった記念すべき第1作
ここから、「目玉×花」というアプローチが始まる。


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柴原薫さん公式サイト(KAO'RU® Shibahara

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