2018年7月12日木曜日

『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』


『毎日がアルツハイマー』というドキュメンタリー映画の上映が始まったのが2012714日。ちょうど6年後の2018714日、シリーズの第3作、最終章の上映が始まります。監督は、関口祐加さん。

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女性監督が描く、等身大のドキュメンタリー映画 その1

『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』


(C)2018 NY GALS FILMS


 ああっ……なんて辛口!
 認知症の母を介護しながら、自らも股関節の手術を終えたばかりの関口祐加さん。母を思い、自分が不在のときにどうしようかと話していると、母からこんな返事が。

「ここ、私の家だよ。なんで私がこの家出なきゃいけないの?」

 母が認知症とわかり、介護のためにオーストラリアから日本に戻ってきた祐加さん。何年も一緒にいたはずなのに、母のひろこさんはそのことをすっかり忘れている。祐加さんが入院していた1ヶ月の間に記憶はリセットされ、ひろこさんの頭の中は「自分はずっと独り暮らしでがんばってきた」ということになっている。
 
 シリーズの1と2を見て、祐加さんがまるで友人のように近しい人に思える私には、何ともつらいシーン。ご自身も大変だったろうに、ねぎらいは?いたわりの言葉は?…と思ってしまう。でも、もちろん、ひろこさんの問題ではない。そこにはばかるのは「認知症」という脳の疾患だ。

 この映画が教えてくれるのは、「介護の在り方」である以上に「家族の在り方」だ。ひどい言葉が飛び交っても、そこには強固な家族の絆がある。祐加さんがどれだけひろこさんを大切に思っているか、じわりじわりと伝わってくる。ひろこさんはきっと、母として立派に祐加さんたちを育て上げたんだろうな、としみじみ感じる。

(C)2018 NY GALS FILMS


 緩和ケア、ターミナル・セデーション、自死幇助(じしほうじょ)、安楽死……

 聞いたことがあるような、よくわからないような、死をほのめかす単語たち。

 介護をしながら自分自身の老いを見つめざるを得なくなった祐加さんは、これらの言葉に向き合い、旅をする。横浜から東京、愛媛へ。そして海外へ。毎アルシリーズ2で訪れたイギリスへ、自死幇助が合法化されているスイスへ、友人のいる、かつて住んでいたオーストラリアへ。

 映画監督、関口祐加。
 この人は、逃げない、あきらめない。
 人の弱さを知っている、そして社会を変えようとしている。
 こんなパワフルな人が日本にいるってことを忘れたくない。
 毎アルシリーズは終わるけれど、祐加さんの人生はまだまだ続く。
 これからも、ユーモアたっぷりの人生でありますよう。


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<本ブログ内リンク>

『毎日がアルツハイマー2


祐加さんは横浜在住。そしてこの映画も「横浜」が舞台です。
『禅と骨』 (Zen and Bones

<公式サイト>

長編動画『毎日がアルツハイマー』シリーズ






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