2015年11月14日土曜日

『パリ3区の遺産相続人』(My Old Lady)

2015年11月13日(金)の夜(日本時間では、11月14日早朝)、パリで同時多発テロが発生しました。そんな中、日本でこの映画の上映が始まります。
パリは、その「寛容さ」で多くの人々を受け入れてきました。富める人、貧しい人、夢を追う人、故郷を追われた人…… 傷だらけの心を癒す場所であるパリが、心に傷を負う場所となって現実が、つらい。
寛容さにつけねらう悪に打ち負かされませんよう。
このような事件が起きても、「それでも(Quand-même)」、寛容さを失わないパリでありますよう。その願いを込めて、この映画を紹介します。

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『パリ区の遺産相続人』(原題:My Old Lady/ 2014/ 英国・フランス・米国合作)
  
どんなに大人でも、どんなに年を取っていても
人は誰でも、心のどこかに、「こどもの頃のまま」の自分がいる。
ぎゅっと抱きしめられたくて、
まるで、おかあさんを後追いする赤ん坊のように
愛を探し求めている。

この映画の登場人物も、こどもの頃のままの自分を持て余しながら、心の穴を埋めようとして必死に生きている。

© 2014 Deux Chevaux Inc. and British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.

父の遺したアパルトマンを相続するため、一文無しのマティアス(ケヴィン・クライン)は、ニューヨークからパリへやってくる。
そのアパルトマンに住む老婦人マティルド(マギー・スミス)と娘のクロエ(クリスティン・スコット・トーマス)は、亡き父とどのような関係があったのか……
名優たちの、テンポよく気の利いた台詞のかけあいにぐいぐいと引き込まれていく。
こんなことが現実に起きていたら悪夢を見るような心地になるだろう。
でも、映画のマジックは、情けなくて泣きたくなるような人生も、虹色のベールにふわりと包んでくれる。

セーヌの川辺やアンティークショップのシーンも素敵だけれど、不動産屋さん(ドミニク・ピノン)とお医者さん(ノエミ・ルポフスキー)の存在感がもっと素敵。パリをパリらしくするのは、そこに住む人の個性だなと感じさせてくれる。

人間くさくって、いたくって、でも温かくて情緒あふれるパリを見せてくれる映画。

 © 2014 Deux Chevaux Inc. and British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.

20151114日(土)、Bunkamuraル・シネマほかロードショー


<公式サイト>

パリ区の遺産相続人

http://souzokunin-movie.com


監督・脚本:イスラエル・ホロヴィッツ 撮影監督:ミシェル・アマテュー 音楽:マーク・オートン
出演:ケヴィン・クライン(『ラストベガス』)、マギー・スミス(『ダウントン・アビー』)、クリスティン・スコット・トーマス(『サラの鍵』)、ドミニク・ピノン(『天才スピヴェット』)
2014/アメリカ・イギリス・フランス合作/107分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル 

提供:熱帯美術館、ミッドシップ、ConFrog 
配給:熱帯美術館 
協力:サム・インター

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