2015年12月6日日曜日

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬(2 automnes 3 hivers)

125日(土)から上映が始まったこの映画もまた、パリの一画が舞台です。
人々の心の痛みが少しでもはやく和らぎますよう。

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メニルモンタン 2つの秋と3つの冬(原題:2 automnes 3 hivers/ 2013/フランス)

『2つの秋、3つの冬』
( Interview with Sebastien Betbeder)

舞台は、パリのはずれにあるメニルモンタンという街。アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』の舞台にもなった場所だ。仕事をみつけること。運動を始めること。禁煙すること。美大出身で求職中のアルマン(ヴァンサン・マケーニュ)は、33歳の誕生日を機に、この3つの決意をする。土曜の朝、公園をジョギングしていると、同世代のアメリ(モード・ウィラー)とぶつかり、心ときめいてしまう。が、声をかけるきっかけはなかなかつかめない。うだつのあがらない毎日だけど、美大時代に知り合ったバンジャマン(バスティアン・ブイヨン)という親友がちゃんといる。あるとき、バンジャマンと行きつけのバーを出ると、そこにいたのは……
映画は、2組のカップルの恋物語とその周辺の人々の、さまざまな日常が描かれる。登場人物の独白(モノローグ)や、50章ほどのチャプターに分かれて展開される。
監督は、セバスチャン・ベベデール(Sebastien Betbeder)。 フランスに住む30代の人々の揺れ動く気持ちを描くため、ベベデール監督は撮影手法そのものに変化をつけた。16ミリカメラとデジタルカメラの併用、細かい章立て、クローズアップの多用、カメラ目線でのモノローグ、ストーリーの脱線(脇道にそれる展開)etc.…… そこには、今の世の中に挑もうとする「小さなレジスタンス」の精神がしっかりと刻まれていた。

セバスチャン・ベベデール監督(2014年6月28日撮影)


 「若者たちにもっとも伝えたいことは?」と投げかけた質問に、彼はこう答える。
「”希望”です。今は決して楽しい時代ではないかもしれません。それでも、私たちは、“生活”という現実を通して幸せになれるし、楽しいという気持ちを持ちつつも、理不尽な社会と闘うことができるのではないでしょうか」(※2014628日、フランス映画祭2014のために来日したベベデール監督のインタビューより)

コメディなのに、なぜかメランコリック。不思議な情感が漂う映画。
フランスには”adulescence”という言葉があるらしい。Adulte(大人)とティーンエイジャー(adolescence)を組み合わせた新しい言葉だ。日本語に訳すと「中二病」なのかな?
あきらめず、心の成長を続けようとするアルマンは、私たちのすぐそばにいそうな気がする。


<本ブログ内リンク>

映画監督たちは、暴力の描写とどう向き合っているのか(フランス映画祭2014
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/2014.html
(ベベデール監督のコメントを掲載しています)

<公式サイト>
メニルモンタン 2つの秋と3つの冬

http://menilmontant-movie.com

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