2017年11月5日日曜日

『リュミエール!』(Lumière ! )  その2


『リュミエール!』(原題:Lumière ! ) その2

 映画の発明者は誰か?
このことが議論されることがしばしばある。
キネトスコープを発明したエジソンか?
シネマトグラフを発明したリュミエール兄弟か?

第30回東京国際映画祭で舞台挨拶に訪れた
ティエリー・フレモ監督
2017年10月26日撮影

30回東京国際映画祭で特別上映された『リュミエール!』。上映前の舞台挨拶で、
ティエリー・フレモー監督はこう語った。
「リュミエール兄弟の前にも、映画の発明に尽力してきた先人たちは数多くいます。その人たちの力があってこそ、リュミエールもシネマトグラフを発明することができたのです」と。
エジソンは、リュミエール兄弟のシネマトグラフ発明の少し前に、キネトスコープを世界に披露していた。キネトスコープは箱形で、箱の中をのぞき込むと動画を見ることができる仕組み。
「エジソンが発明したのは、これです」と、監督はポケットからスマートフォンを出してみせる。そして、監督の真後ろには、大きなスクリーンが。スクリーンに映像を投影し、大勢の人の前で見せる方法を編み出した人こそ、オーギュストとルイのリュミエール兄弟だ。

© 2017 - Sorties dusine productions - Institut Lumière, Lyon 


 スクリーンの前に大勢が集まり、共に笑い、共に涙を流す。ときには人によって感動するツボが違ったりもする。その違いもまた楽しめる。リュミエール兄弟が発明したのは、単なる撮影と映写の機械ではなく、それ以上のものだったのだと思う。それ以上のものとは、感動を同じ場所で「シェアする」喜びのことだ。

 スマホとヘッドフォンでひとり楽しむ映画もときにはいい。スマートフォンが世に出るはるか昔にキネトスコープを発明していたエジソンのひらめきには、驚くばかりだ。
  ただ「映画とは何か?」という定義を考えるとき「同じ場所で大きなスクリーンに映写された映像を大勢で楽しむ」という楽しみ方を与えてくれたリュミエール兄弟の存在を、私たちは決して忘れてはならないと思う。
 

<本ブログ内リンク>

『リュミエール!』 その1

30回東京国際映画祭
(『リュミエール!』が特別上映されました)

<公式サイト>

『リュミエール!』


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