2019年6月6日木曜日

『パリの家族たち』 (La fête des Mères)

 映画が描く母の愛 、家族の愛 その1

  母親は無償の愛で子供を包み込むもの。
  当たり前のように思われていた「母の愛」ですが、本当にそうなのでしょうか。
 母、あるいは母に代わる家族の愛を受け止めることができない人たちの声にならない悲痛な叫びが聞こえてくるようです。家族の愛を感じられないから、悲しい事件が起こるのではないでしょうか。

  悩みながらも、愛のキャッチボールを続ける家族の映画が、フランスから届きました。

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『パリの家族たち』 (原題:La fête des Mères 
監督:マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

 忙しそうにおむつを替えながら、スマホで打ち合わせをする1人の女性。
 21世紀となった今では、それほど珍しい光景ではなくなった。でも、この女性が「フランス大統領」であることを知ると、どうだろう?


© WILLOW FILMS – UGC IMAGES – ORANGE STUDIO – 
FRANCE 2 CINÉMA

 
  残念ながら、子育て中の大統領が登場する映画は、私が知る限りはない。そして、現実の社会でも、今なお多くの国が「女性が大統領になる」ことが簡単なことではない。
 きりっとした表情、洗練された服装、隙のないひと言ひと言。それとは裏腹に、どこか不安げな雰囲気が漂う。母親となった自分に厳しい視線を向ける国民への不安か、それとも完璧な母親になれないことへの不安か……  

© WILLOW FILMS – UGC IMAGES – ORANGE STUDIO – 
FRANCE 2 CINÉMA


 そんな大領領が率いる国フランスで、さまざまな悩みを抱える人々が暮らす。彼らや彼女たちそれぞれの生き様が「母の日」を軸に描かれる。奔放な母親のもとで、三者三様のさびしさを抱えて成長した三姉妹。長女は子供ができず養子を迎える決断をする小児科医、次女はシングルマザーのジャーナリスト、三女は独身を謳歌する大学教授だ。一方で、亡き母への思いを今も大切にする花屋の主人がいれば、舞台女優としてのキャリアをあきらめない母の健康を気遣う息子がいる。フランスに生きる中国出身の女性は、離れた場所にいる幼い息子とスカイプでつながり、抱きしめるような仕草で愛を伝える。涙が出そうなシーン、クスリと笑ってしまうシーン、どのシーンも家族の愛でいっぱいだ。映画の冒頭で、レジオン・ドヌール勲章の授賞を控えるした男性が、母への思いを伝えるシーンがある。この伏線をどうか忘れずに。映画の終盤では彼が母を伴って再登場、そのときに映空の何と広いこと。「母」というのは、きっと、私たちの頭上に広がる空のように、果てしない愛で私たちに寄り添ってくれる存在なのだろう。


© WILLOW FILMS – UGC IMAGES – ORANGE STUDIO – 
FRANCE 2 CINÉMA



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少しでも多くの人が「愛」を感じられる世の中でありますよう。


<本ブログ内リンク>

マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督作品
『奇跡の教室〜受け継ぐ者たちへ〜』(原題:Les heritiers)

『奇跡の教室〜受け継ぐ者たちへ〜』上映後に行われた、
ピーター・バラカンさんのトークショー
映画を語る(Peter Barakan talks about the film"Les heritiers"

本作に母親のひとりとして出演のニコール・ガルシアさん監督作品
『愛を綴る女』(Mal de pierres

http://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2017/10/mal-de-pierres.html


© WILLOW FILMS – UGC IMAGES – ORANGE STUDIO – 
FRANCE 2 CINÉMA

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