2017年6月10日土曜日

『残像』(Powidoki)


今日、2017610日から、アンジェイ・ワイダ監督の遺作『残像』の日本での上映が始まります。

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『残像』(原題:Powidoki


 ©2016 Akson Studio Sp. z o.o, Telewizja Polska S.A, EC 1 – Łódz Miasto Kultury, 
Narodowy Instytut Audiowizualny, Festiwal Filmowy Camerimage-Fundacja Tumult All Rights Reserved.

 舞台は、第二次世界大戦後、ソ連の影響が色濃いポーランドに、ヴワディスワフ・ストゥミンスキという前衛芸術家が実在した。カンディンスキーやシャガールとも交流のあった彼は、「芸術」という表現の自由に希望を抱き続け、社会主義政権という巨大権力にたった一人で立ち向かった人だった。

「私は、人々の生活のあらゆる面を支配しようと目論む全体主義国家と、一人の威厳ある人間との闘いを描きたかったのです」

 この映画を完成させた2ヶ月後の201610月9日、アンジェイ・ワイダ監督は他界した。遺作となった『残像』にこめたワイダ監督が残した言葉だ。

 表現の自由を得るために、人はどれだけ多くのことを犠牲にするのか?
 全体主義国家の中、個人はどのような選択を迫られるのか?

ワイダ監督はこう結んでいる。
「これらは過去の問題と思われていましたが、今もゆっくりと私たちを苦しめ始めています。どのような答えを出すべきか、私たちは既に知っている。そのことを忘れてはならないのです」と。

 21世紀の日本に生きる私たちにとって、この映画は遠い昔の、遠い国の話に過ぎないのだろうか? いや、そんなことはない。少なくとも、私はそう思う。
 
 この映画を観て、私たち自身が、自分が持つことのできる「自由」という権利に気づくことができますよう。


 ©2016 Akson Studio Sp. z o.o, Telewizja Polska S.A, EC 1 – Łódz Miasto Kultury, 
Narodowy Instytut Audiowizualny, Festiwal Filmowy Camerimage-Fundacja Tumult All Rights Reserved.


<本ブログ内リンク>

(社会主義政権下のチェコ・スロヴァキアでつくられた映画)
『ひなぎく』(Sedmikrásky ) その3


<公式サイト>

残像


配給:アルバトロス・フィルム
6/10(土)岩波ホールほか、全国順次ロードショー



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