「ジョアンほどの”人たらし”はいないわ。私もだまされたの」
映画の中で朗らかに語っているのは、ジョアン・ジルベルトの元妻のミウシャ。
この映画が日本に公開するのを楽しみにしながら、彼女は2018年12月、他界しました。
ジョアンもまた、後を追うように私たちの世界を去りました。この映画の日本公開を知った後の7月6日のことでした。天国で、ミウシャとどんなことを話しているでしょうか。
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『ジョアン・ジルベルトを探して』(原題:Where Are You, Joao Gilberto?)その1
©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018 |
ジョアンの元妻、ミウシャ。
ジョアンの家に自慢の料理を出前する料理人。
行きつけの床屋の主人。
旧友たち、マネージャー。
ジョアンについて訪ねると、彼のつかみどころのない魅力を淡々と語ってくれる。でも誰一人として、「ジョアンに会いたい」というジョルジュ・ガショ監督の願いを叶えてはくれない。叶えられない。
追いかけても追いかけても、その手をするりとぬけてしまう。しかし、彼は確かに存在する。
ブラジルのまったりとした空気の中に、確かにジョアンを感じるのだ。
音楽ドキュメンタリーというより、詩的な旅行記だ。サウダージが漂うブラジルの景色は美しく、彼がボサノバを生み出したと言われる小さなバスルームさえ、宝石箱のようにみえる。
©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018 |
ジョアンをミステリアスにしているのは、本人だけではないのだろう。彼を知る人たちもまた、ジョアンの孤独を大切にし、ジョアンの世界を守る要塞となっている。ジョアン本人の姿はまったく映らないのに、全編にわたりジョアンの息づかいが聞こえてくる。まるで幸せの呪文のように。
けだるい夏から物思う秋へ……
こんなとき、ボサノバを聴ける喜び。この映画と出会える喜び
生きる喜びってこういうことなのだろう、きっと。
<本ブログ内リンク>
ジョアン・ジルベルトへの思い その1
ジョアン・ジルベルトJoão Gilberto)への思い その2
『イパネマの娘』(Garota de Ipanema)
<公式サイト>
『ジョアン・ジルベルトを探して』
©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018 |
配給:ミモザフィルムズ
8月24日(土)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
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