2022年1月13日からの上映開始に伴い、書籍の発売や音楽イベントも開催されます。
************************************************************
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(原題:Ennio)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ(Giuseppe Tornatore)
©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras
何度も見ているのに。ストーリーだってわかりきっているはずなのに。
それなのに、少年の笑顔と音楽が流れたとたんに涙が出た。
『ニュー・シネマ・パラダイス』の1シーンが流れたかと思ったら、涙かわく間もなく『海の上のピアニスト』の、あのシーンが……甘すぎるだのセンチメンタルだのと言いたくなる理性を包み込むように、心の奥底の無防備な自分が反応してしまう。
20世紀の映画史を紐解くかのように、モリコーネが音楽を手がけた数々の映画が紹介されていく。ロミー・シュナイダーがいる、アラン・ドロンがいる、マルチェロ・マストロヤンニがいる。ケビン・コスナーも、そしてショーン・コネリーも、彼の音楽を聴きながら演技をしたロバート・デ・ニーロも。輝きを放つスターたちに寄り添うようにモリコーネの音が流れると、俳優が映像に与えた命に、もうひとつの命が宿る。
数々の著名人がモリコーネを語るときの表情も、何とも言えない魅力に溢れている。
パット・メセニーの屈託のない笑顔、ブルース・スプリングスティーンもメタリカのジェイムズ・ヘットフィールドもさりげなく登場、モリコーネの曲に歌詞をつけたジョーン・バエズも、彼の音楽で演技がさらに輝きを増したクリント・イーストウッドも、誰もがモリコーネへの”愛”でいっぱいなのだ。
その価値も芸術性も決して高くはなかった”映画音楽”というジャンルは、モリコーネによって映画の一部となり、映画になくてはならないものへ変遷していく。映画音楽の歴史は、20世紀の映画の歴史そのものとも言えるのかもしれない。
©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras
2時間37分のドキュメンタリーを見たというより、2時間37分の異次元空間に迷い込んだかのような至福のひととき……ジュゼッペ・トルナトーレによる映像と音楽のコラージュは、2001年9月11日に起きた映像も見逃すことはなかった。そのとき、モリコーネがどのような行動を起こしたかということも。
今、モリコーネが生きていたら、どんな行動を起こしていただろうか。彼はどんな音楽を生み出しているだろうか。映画の余韻は、見た後ももうしばらく続きそうだ。
*************************************************
<本ブログ内リンク>
『ニュー・シネマ・パラダイス』( 原
題:Nuovo Cinema Paradiso )
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2015/10/nuovo-cinema-paradiso.html
『海の上のピアニスト』4Kデジタル修復版&イタリア完全版
(原題: La leggenda del pianista sull'oceano)
https://filmsandmusiconmymind.blogspot.com/2020/08/4k-la-leggenda-del-pianista-sulloceano.html
<公式サイト>
配給:ギャガ
<関連イベントリンク>
ラ・カーサ・デラ・ムジカ by Rambling RECORDS featuring ENNIO MORRICONE
2023年1月19日(木)、恵比寿・ブルーノート・プレイスにて開催
0 件のコメント:
コメントを投稿