1945年8月6日、午前8時広島原爆の日。
こんな焼け付くような暑さの日に、どうして原子爆弾・リトルボーイが投下されなければならなかったのでしょうか。
『黒い雨』(今村昌平監督/1989年)、『父と暮らせば』(黒木和雄監督/2004年)など、原爆がもたらしたその後の悲劇を描いた映画もありますが、今日は、1冊の本をご紹介します。
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『風が吹くとき』(原題:When the Wind Blows)
1982年に英国の作家、レイモンド・ブリッグズによって発表されたマンガ作品。1986年にはアニメーション映画も製作された。(日本語版監修:大島渚、声:森繁久彌 加藤治子)
英国(イギリス)の田舎で静かに生活する老夫婦、ジムとヒルダ。ある日、戦争が勃発する。2人は政府の指示に従い、避難生活を続けていくが……
作品のタイトルの「風」とは何か?表紙画像を見ると明らかだ。どこにでもいるような、気のいい老夫婦、ジムとヒルダ。この2人を待ち受ける運命が、ただ静かに描かれる。2人の会話と、ラジオや公報といったわずかな情報だけで物語が展開していく。
『風が吹くとき』
レイモンド・ブリッグズ 作
さくまゆみこ 訳
あすなろ書房 刊
あすなろ書房 刊
「先生の言うことを聞くように」
「自分の主張ばかりを唱えず、周りのことも考えるように」
「どんなことがあっても決して取り乱さないように」
多くの人がこんな言葉を聞いて成長したのではないだろうか。そして、その通りに生きる人を「よい人」と思う人も多いのではないか。ジムもヒルダもそんな人たちだった。その結果、彼らがどんな人生を送ることになったか、この本を最後まで読んで知ってほしい。今から30年以上も前に描かれたこの本に、世の中がとうとう追いついてしまった。自分は今まで何をしてきたのだろう。そんな自戒の思いを込めて、この本を紹介したい。「服従」という生き方の危うさを少しでも多くの人が知ってくれたら、私たちの後に続く世代が戦禍に巻き込まれる可能性が少しは低くなるのかもしれないと願って。
あすなろ書房
http://www.asunaroshobo.co.jp
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