第88回アカデミー賞授賞式が2016年2月28日(現地時間)に始まります。
ノミネート発表の際には、さまざまな批判が飛び交いました。候補者に人種的な偏りがある、LGBTをテーマにした作品は評価が低いなど……
これらの批判が的を得ているのかいないのか、私にはまだわかりません。はっきりしているのは、アカデミー賞が、米国社会の、あるいは地球全体のさまざまな問題を映し出しているということです。そんなことを考えながら、昨年のアカデミー賞受賞式を振り返っています。
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第87回アカデミー賞を振り返る その1
第87回アカデミー賞授賞式が終わった。
その華やかさとコントラストを奏でるように、こんなキーワードが浮き彫りにされた。
「虐げられた人たちへのまなざし」だ。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)、アルツハイマー、アスペルガー、同性愛者、PTSD、移民、黒人、ユダヤ人……ノミネート作品、受賞作品、受賞者やプレゼンターたちのスピーチには、社会への熱い思いが凝縮されていた。少数派(マイノリティ)と呼ばれる人たち、社会的弱者として扱われる人たちへのまなざしが感じられた。
「女性にも平等の権利を」と力強い言葉でスピーチを締めくくった、パトリシア・アークエット。民主主義の侵害に異議を唱えたローラ・ポイトラス監督、キング牧師らの遺志を継いで「行進を続けます」と語ったコモン&ジョン・レジェンド、自殺未遂の体験を語り「君の居場所もここにある、君は変わり者のままでいいんだ」とメッセージを発信したグレアム・ムーア。「私たちが本当に求めている社会ができることを」と願ったメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。
「どのような立場の人間であっても平等にあつかわれるべき」というデモクラシー(民主主義)の精神が溢れていた数々のスピーチ。まだ、世界は捨てたもんじゃないんだ、そんなふうに思わせてくれた。
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