岩手県矢巾(やはば)町で、中学生の少年が自殺しました。
本人は、悲痛なサインを出していました。
つい先日まで上映されていた映画、『ソロモンの偽証』。6月に行われたフランス映画祭
2015のために来日したイザベル・ジョルダーノ(Isabelle
Giordano)さんも、「印象に残った日本映画のひとつ」として挙げていました。
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『ソロモンの偽証』(前篇・事件 後篇・裁判)その1
(2015年/日本/ 原作:宮部みゆき/ 監督:成島出)
事件が起きたのは、1990年末の東京。テレビ画面には『まんが日本昔ば
なし』が流れている。のどかなお茶の間の光景と対比させるかのように、
映像はこどもたちのいじめを、大人たちの隠蔽などを淡々と描く。
目を覆いたくなるシーンもある。そしてこう思う。これが、ありのまま
の現実なんだ、社会ではこんなことが当たり前のように起こっているん
だ、と。
だから私たちは、目をそらさずにこの映画を最後まで見届けなければな
らないんだ。そう思いながら映像を追う。
©2015「ソロモンの偽証」製作委員会
映画は、前篇と後篇に分かれている。
前篇。同じ中学校に通う学生が2人、謎の死を遂げる。同級生の突然の
死、マスコミの無責任な報道、周囲の大人たちへの不信感にこどもたちは
戸惑い、苦しむ。
「本当のことを知りたいって、そんなにいけないことなの!?」
どうして同級生が死ななければならなかったのか、いったい何が真実なのかを知りたいと願う藤野涼子は、「校内裁判をしたい」と両親と学校に
訴える。
今日から始まった後篇は、1991年8月15日から数日間にわたって行われ た裁判の模様が描かれる。そこで明らかになるのは、2人の生徒の死の真相 を超えた、多くの事実だ。
©2015「ソロモンの偽証」製作委員会
いじめの連鎖、思春期のこどもたちの凶暴なまでの純粋さ、どうしよう もない迷いと孤独......
それを見守ろうとする大人もいれば、持て余す大人たちもいる。持て余
しながらも、自分なりのやり方で守ろうと、間違った方向へすすんでしまう大人もいる。
校内裁判は、誰かを裁くためのものではなかった。映画を最後まで見終
えたときにわかるのは、憎むべきは「罪」であって「人」ではないという
こと、そして「真実」の中に必ず希望があるということ。
ふたをしていた自分の心を解き放ち、本音でぶつかることの大切さを、
この映画を通して少しでも多くの人にわかってほしいと思う。
エンドロールで流れるU2の「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」
(With Or Without You)に心が洗われる。
<本ブログ内リンク>
『バベルの学校』その2 吹き替えに挑む川崎の中学生たち
<公式サイト>
『ソロモンの偽証』
http://solomon-movie.jp
配給:松竹
作品名:『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』
原作:宮部みゆき(新潮文庫刊)/監督:成島出
主題歌:U2「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」
出演:藤野涼子 板垣瑞生 石井杏奈 清水尋也 富田望生 前田航基 望月歩
佐々木蔵之介 夏川結衣 永作博美 小日向文世 黒木華 尾野真千子
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