2015年7月9日木曜日

『ソロモンの偽証』(前篇・事件 後篇・裁判)その1


岩手県矢巾(やはば)町で、中学生の少年が自殺しました。
本人は、悲痛なサインを出していました。

つい先日まで上映されていた映画、『ソロモンの偽証』。6月に行われたフランス映画祭
2015のために来日したイザベル・ジョルダーノIsabelle Giordano)さんも、「印象に残った日本映画のひとつ」として挙げていました。

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『ソロモンの偽証』(前篇・事件 後篇・裁判)その1
 (2015/日本/ 原作:宮部みゆき/ 監督:成島出)


事件が起きたのは、1990年末の東京。テレビ画面には『まんが日本昔ば なし』が流れている。のどかなお茶の間の光景と対比させるかのように、 映像はこどもたちのいじめを、大人たちの隠蔽などを淡々と描く。
 目を覆いたくなるシーンもある。そしてこう思う。これが、ありのまま の現実なんだ、社会ではこんなことが当たり前のように起こっているん だ、と。
 だから私たちは、目をそらさずにこの映画を最後まで見届けなければな
らないんだ。そう思いながら映像を追う。




©2015「ソロモンの偽証」製作委員会

 映画は、前篇と後篇に分かれている。

前篇。同じ中学校に通う学生が2人、謎の死を遂げる。同級生の突然の 死、マスコミの無責任な報道、周囲の大人たちへの不信感にこどもたちは 戸惑い、苦しむ。
「本当のことを知りたいって、そんなにいけないことなの!?

どうして同級生が死ななければならなかったのか、いったい何が真実なのかを知りたいと願う藤野涼子は、「校内裁判をしたい」と両親と学校に 訴える。
 今日から始まった後篇は、1991815日から数日間にわたって行われ た裁判の模様が描かれる。そこで明らかになるのは、2人の生徒の死の真相 を超えた、多くの事実だ。




©2015「ソロモンの偽証」製作委員会

いじめの連鎖、思春期のこどもたちの凶暴なまでの純粋さ、どうしよう もない迷いと孤独......

 それを見守ろうとする大人もいれば、持て余す大人たちもいる。持て余 しながらも、自分なりのやり方で守ろうと、間違った方向へすすんでしまう大人もいる。
 校内裁判は、誰かを裁くためのものではなかった。映画を最後まで見終 えたときにわかるのは、憎むべきは「罪」であって「人」ではないという こと、そして「真実」の中に必ず希望があるということ。

 ふたをしていた自分の心を解き放ち、本音でぶつかることの大切さを、 この映画を通して少しでも多くの人にわかってほしいと思う。
 エンドロールで流れるU2の「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」 (With Or Without You)に心が洗われる。


<本ブログ内リンク>


『バベルの学校』その2 吹き替えに挑む川崎の中学生たち
 http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/la-cour-de-babel_6.html



<公式サイト>

『ソロモンの偽証』

http://solomon-movie.jp

配給:松竹

作品名:『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』

原作:宮部みゆき(新潮文庫刊)/監督:成島出 

主題歌:U2「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」

出演:藤野涼子 板垣瑞生 石井杏奈 清水尋也 富田望生 前田航基 望月歩

佐々木蔵之介 夏川結衣 永作博美 小日向文世 黒木華 尾野真千子




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