2015年7月14日火曜日

『毎日がアルツハイマー2』

2012714日。
『毎日がアルツハイマー』という画期的ドキュメンタリー映画が初めて上映されたのが、3年前の今日でした。
認知症と「まっすぐ」「明るく」向き合い、自らの介護生活を撮り続ける、映画監督・関口祐加さん。2014年には、続編『毎日がアルツハイマー2』も上映されました。
劇場公開は終わっていますが、これからも自主上映、特別上映の輪が広がっていきますよう。

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『毎日がアルツハイマー2』

 認知症をわずらう母と、介護する娘との会話。娘が母にカメラを向けて質問する。忘れるということに対してどう思うか?と。
「幸せだね〜。やなこともつらいこともみんな忘れるんだ……悪いことは忘れる。人間の本能だね。いいことは覚えてるんだよ」
 東京都内で上映されている『毎日がアルツハイマー2』のワンシーン。
 舞台は横浜。オーストラリアで活動していた映画監督の関口祐加さんは、2009年、ご母堂の介護のために帰国、そのご母堂を主人公に『毎日がアルツハイマー』というドキュメンタリー映画(長編動画)を製作した。2012年に上映されたときに大きな反響を呼び、その続編となったのが『毎日がアルツハイマー2』だ。


(c)2014 NY GALS FILMS


 「認知症」と「介護」というテーマが、軽やかに、ユーモアたっぷりに描かれる。のどかな音楽、あたたかみのあるイラストに加えて、関口監督自身の横浜アクセントのナレーション(?)が新鮮で素敵だ。

 認知症と診断された母の姿を追いかける第1作『毎日がアルツハイマー』に対し、2作目となる『毎日がアルツハイマー2』は、関口監督自身にカメラが向けられる。彼女は、“Person Centerd Care “( P.C.C/パーソン・センタード・ケア)という、患者の尊厳を守りながら関わりを持つ介護メソッドについて深く知るため、英国へと飛び立つ。

 パーソン・センタード・ケアとは何か?

 そこには、人と人がどのようにコミュニケーションをはかり、どのようによい人間関係を築いていけばよいかという答えがつまっている。目の前にいる人が認知症であろうとなかろうと、人に対する接し方の基本は変わらないからだ。
「ネバー・ギブ・アップの精神だ!」と語る関口監督自身が、第2作で介護への不安をちらりと見せる。自分も、もしかしたら「虐待」の加害者になってしまうのではないか、と。そのときの、ヒューゴ・デ・ウァール博士の答えが強く心に残る。

 人は死から逃れられない。老いからも、病気からも……誰でもが知っている事実だ。
それでも、これらのテーマに真っ正面から「明るく」取り組んだ映画監督は、それほど多くなかったと思う。ご子息をオーストラリアに残し、日々「ネバー・ギブ・アップ」の精神で母の介護に奮闘する関口祐加監督に敬意と声援を送りたい。ご自身のお体もどうか大切に。

(c)2014 NY GALS FILMS 


<公式サイト>

長編動画『毎日がアルツハイマー2
http://www.maiaru2.com/

長編動画『毎日がアルツハイマー』

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