2015年7月4日土曜日

吹き替えの魅力『アガサ・クリスティー ミス・マープル』


 海外ドラマを観る楽しみのひとつが「声の出演」。魅力あふれる海外の役者の演技を、魅力あふれる「声」で日本語で吹き替えてくれる。「うちのかみさんがね」(刑事コロンボ)といった日本語の言い回しも嬉しいし、名優×名優のダブルパワーに感動が倍増することもしばしば。

 NHK BSでアンコール放送されている『アガサ・クリスティー ミス・マープル』も、そんな喜ばしいドラマの1つ。 シーズン1〜3でミス・マープルを演じたジェラルディン・マクイーワンさんの吹き替えは、岸田今日子さんと草笛光子さん。
 岸田今日子さんが他界されたあと、「ミス・マープルの声はいったい誰が…」という心配をよそに、草笛光子さんが何の違和感もなく、ジェラルディンさんの表情に優雅な声をかぶせていた。声質がまったく違うお二人なのに、どちらもどうしてこんなに味わい深く自然にジェラルディンさんを引き立てることができるのだろうと、その年輪を重ねた名演ぶりに聞き惚れていた。


『ミス・マープル』は、推理ドラマとして十分に楽しめるけれど、根底に流れているのは、人間同士の心の奥深くにひそむ愛や憎しみだ。ミス・マープル自身もまた、戦争で大切な人を失っている。あれほど魅力的で聡明な彼女がなぜ「ミス」なのか知ろうとすると、切なくなってくる。

 シーズン13の後、ミス・マープル役を担っているのはジュリア・マッケンジーさん。優雅なジェラルディンさんとタイプは違うけれど、藤田弓子さんの声と重なる可愛らしさもまた嬉しい。

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 NHK BSでミス・マープルが放送されているさなかの2015130日、ジェラルディン・マクイーワンさんが天へ召されました。マクイーワンさんへの感謝と敬意を込めて、この記事を執筆しました。

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