2015年7月15日水曜日

フランス映画祭2015 その3 --来日ゲストが届けてくれた、フランスの風 --

7月14日は、フランスに住む人にとってもっとも大切な日のひとつ、”Quatorze Juillet”(キャトローズ・ジュイエ)。日本で「パリ祭」と呼ばれるこの日、フランスじゅうが華やかな空気に包まれます。

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フランス映画祭2015 その3
--来日ゲストが届けてくれた、フランスの風 --

21世紀。
どの国の街も、景観はだんだんと似通ってきたものになって、その国らしさがうすれているような気がする。それでも、ほんの小さなところで「ああ、この国らしいな」と感じるものをみつけると、すごくうれしい。
人も同じ。生活が多様化するにつれ、1つの国でもいろんな個性が生まれ、「国民性」というステレオタイプな考え方で語れなくなってきている気がする。
それでも、フランス出身の人の言葉や立ち振る舞いで、「ああ、フランスだ!」と感じたとき、心の翼が、一瞬で自分をフランスに連れていってくれる気がして、ものすごくうれしくなる。

ルアンヌ・エメラさん
(2015年6月26日、有楽町朝日ホールにて撮影)


フランス映画祭は、そんな「ちょっとしたフランスらしさ」をみつけられる場所。スクリーンの中から、だけではない。来日ゲストのちょっとした仕草や発言にも、フランスの香りがただよう。

例えば、オープニング作品『エール!』(La Famille Bélier)の主演、ルアンヌ・エメラ(Louane Emera)さん。質疑応答のとき「私の手話、わかりましたか?」と、客席に向かってぽんと質問を投げかけたとき。

例えば『ボヴァリー夫人とパン屋さん』(Gemma Bovery)のアンヌ・フォンティーヌ(Anne Fontain)監督。主演女優のジェマ・アータートンさんの魅力には「女性も男性も、同性愛者も、そしてそして犬でさえ、どうすることもできないほど魅了される」と答えたとき。

アンヌ・フォンティーヌ監督
(2015年6月27日、有楽町朝日ホールにて撮影)


例えば、『彼は秘密の女ともだち』(Une nouvelle amie)の主演、アナイス・ドゥムースティエ(Anaïs Demoustier)さん。「登場人物のダヴィッドのような人(LGBT)が実際にいたら、一緒に過ごすことができますか?」という質問に対して「もちろんです」と即答したとき。

アナイス・ドゥムースティエさん
(2015年6月27日、有楽町朝日ホールにて撮影)


例えば、『EDEN エデン』(Eden)の脚本に携わった、スヴェン・ハンセン=ら(Sven Hansen-Love)さん。映画の主人公のモデルであり、かつてはDJとして活躍していた。「今後も、映画と関わっていきたいか」という質問に対して「映画が大好きですが、今やりたいことは文学です」と答えたとき。そして、主人公を演じた、フェリックス・ド・ジヴリさん(Félix de Givry)が、この映画について「成功と失敗だけを描いた映画ではないと思う」と語ったとき。
「人は日々失敗をくり返しています。自分の行動を、世間が成功だの失敗だのと判断するかもしれませんが、そんなことは関係ない。自分の目的に向かってどこまで突き進んでいったか、大切なのはそのことだと思います」

スヴェン・ハンセン=ラヴさん
(2015年6月27日、有楽町朝日ホールにて撮影)


個性や違いを尊重する。
次々と展開する会話の流れを楽しむ。
他人の反応を気にするよりも、自分の意見を正しく相手に伝えることを大切にする。
自分の夢を知っていて、周囲に惑わされない。
ためらわず、場の空気を意識せず、きっぱりと、はっきりと主張する、「予定調和」の似合わない姿。ああ、フランスの香りだな、とさわやかな気分になる。

もちろん日本にもこんな素敵さを持つ人はいるのだけど、それでも、フランス語で生きる彼らの魅力は、日本の土と空気が育んだ魅力とはまたちょっと違う気がする。そんな発見をすることが、またうれしい。

フェリックス・ド・ジヴリさん
(2015年6月27日、有楽町朝日ホールにて撮影)


<本ブログ内リンク>

フランス映画祭2015 その2
『ボヴァリー夫人とパン屋さん』トークショー
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/07/2015.html

フランス映画祭2015 その1 『エール!』トークショー

フランス映画祭2015が始まる 
オープニング作品『エール!』(原題:「La famille Belier」)
http://filmsandmusiconmymind.blogspot.jp/2015/06/2015-6-26-2015-la-famille-belier-3-2014.html

<公式サイト>

フランス映画祭2015

http://unifrance.jp/festival/2015/







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